O-Lab +Ossan Laboratory+

Ossanの研究所です。

世界は感情で動く (行動経済学からみる脳のトラップ)。

2ヶ月くらい前に購入してたんだが、
読み切るまでに他の本を読んだり、ラジバンダリで、
なかなか読み進められなかったんだが、ようやく終了。


俺的には、こういう興味深い内容の本は、
読む速度がどうしても遅くなってしまって、
他の気楽にさっさと読める本のまるで「誘惑」のような、
感じのものに引きつけられてしまうのだよね。

p195
占いを信じることは望むことをみつけること


この頭のトラップは、星占い、トランプ占い、筆跡観相などのたぐいが
よく当たると、多くの人が信じる根拠を示しているように見える。
(中略)
このような効果に火をつけるものには、「願望的思考」といった心理的メカニズム、
自己欺瞞、うぬぼれなどがある。
(中略)
自分の性格について、他人(たとえば星占い師)に言われたことを鵜呑みにしがちなのは、
その言葉が自分のことだけを表しているように見えて、実際そのとおりだと信じたくなるからなのだ。


このような策略をうまく利用している人のことを考えてみよう。
広告業者や政治家、それもとくに若い世代で、大衆の要求に必要以上に敏感な人たちだ。
「だって、私には力があるもの」と広告の文句がうれしそうに言うと、
誰もがその気分になる。
だれもが自分自身や自分の価値を見直すようにと言われているようでうれしくなり、
いままでどれほど自分を軽く見ていたのか、もっと人に注目されてもよかったのに、と考える。


で、ちょっとページを戻って

p193
バーナム効果
だれにでも当てはまることがありそうな曖昧で一般的な性格(パーソナリティ)に関する記述を、
自分だけに当てはまるものとして受け止めること。
(中略)
日本では「血液型性格診断」の大ブームが何度も起きている。
(中略)
この手のトラップは人は何かしらの不安を感じて何かに「拠り所」を求めようとすることから始まる。
「心の健康」を大切にしよう。

で、またページは飛ぶが、

p199
その結果、「バーナム効果」にかかりやすい人ほど、「O-LIFE」テストで認知の乱れが認められた。
認知の乱れというのは、自分について持っているイメージを、秩序立てて自分に説明することがむずかしい症状で、
ある種の心理的障害の明らかな兆候の一つと見られている。
(中略)
私たちの精神的健康について教えてくれると考えるほうがいいのかもしれない。

ようするに、各占いを「過剰に」信用する人は、
心理的障害の兆候を示しているということらしい。

p201
問27(学生への質問)
A.「あなたは携帯電話を持っていますか」
B.「クラスのなかの何%が携帯電話を持っていると思いますか」


携帯電話を持っている学生は、クラスの65%が持っていると答えた。
一方、携帯電話を持っていない学生は、持っているのは40%であると答えた。
正解は約50%であった。
(中略)
社会心理学者は、他人に自分を投影させてしまうこの傾向に、
「フォールス・コンセンサス効果」という呼び名をつけた。

この本の内容は、自分自身がよく遭遇する、心理的な動きを
「こういう事例の場合は、こういう傾向で行動が発生する。」と
具体的な例を挙げて、丁寧に解説している。


そして、それらの行動、その時の心理や行動傾向などに、
学者の研究が行われている事実と、それと同時に、
その行動には、きっちり名前も付けられているのだ、
という興味深い点も教えてくれる。


ビジネス書ではないし、自己啓発本でもないが、
社会や組織、を客観的に捉える視点を持つには、
最適な一冊だと感じた。