O-Lab +Ossan Laboratory+

Ossanの研究所です。

ファンサイトの役割の変遷と、今「ファンサイト」に求められる役割を考察する。

私が初めてファンサイトの運用をしたのは、2000年06月のことだった。
ファンになった「酒井彩名」のファンサイトを別の方が作成されてたのだが、
それを引き継ぐ形で若干の手を加えながらデータを追加していくような感じだった。


そのサイトは別の方へ再度譲渡したのだが、それは今もWeb上に存在する。
TOPページ以外は、ほぼそのままの状態で残っている。

あやなっち→元気っち→ -MAGAZINE-
http://www.sakaiayana.jp/super/Works/Magazine/ayana_magazine_index.html

2000年。「Web上の一次ソース」を求められた時代。

2000年当初はファンが作ったファンサイトが大量に出始めていた頃だろう。
大学生だった私は、アイドルヲタになる「寸前」であったが、
初めて購入したPCで自宅からは、当時最も快適なCableTVの回線で、
一足先に「ブロードバンド」な環境で情報をかき集めていたのだった。


その当時に「ファンサイト」に求められていた役割は、
雑誌やテレビ、その他に人づてに聞いた最新情報を
「とにかくWeb上へ流す」という役割であった。


なぜなら、事務所のサイトは情報の内容が貧弱か、
もしくは事務所のサイトが存在しないケースもあったからで、
ファンサイトが用意していた掲示板に、
事務所の担当者の方がイベント情報を直接書き込みにきたり、
アイドル本人が挨拶を書き込みに来るのも、珍しい事ではなかった。
(今でも、ない事ではないけどもね。)


「Web上の一次ソース」になる事が重要な役割であり、
あまりによく出来ていたファンサイトは、
公式サイトと勘違いされ、雑誌等に「公式サイト」として、
URIが掲載される、なんていう事も日常茶飯事であった。

2002〜2005年。「コミュニティ構築」の要求。

アイドルファンサイトは、モーニング娘。を中心とした、
ハロプロ系のファンサイトが急速な発展を遂げる事となる。


サイトデザインが洗練されたものに進化したのはもちろんの事、
動画や画像等の「マルチメディア系ファイル」の掲載技術の発展、
(現在のYoutube等へのファイルup行動は
 この頃あたりからと考えても問題ないだろう。)
「ファンサイトデザインの完成形」が生み出された時代である。


そして、とりわけ言及しておくべきなのは、
「コミュニティ構築」への要求が強かったという事実である。
情報交換、ライブ等の現場で会うためのスケジュール調整、
オフ会の呼びかけ等、ファン同士の交流は、
ファンサイトが用意した「掲示板」のみが頼りであったので、
それらの要求は当然のものであった。


ファンサイトは掲示板(BBSと呼ばれていた)の設置が必須であり、
その分野において、No.1ファンサイトの地位を目指すには
掲示板も1つではなく、複数設置が必要とされる時代であった。


結果、サイト管理人は

  • サイトデザイン
  • サイトの更新等の運用
  • 掲示板の運用

という、複数の能力を要求される時代が来る。


とりわけ、ファン同士の争いが頻発するようなアイドルの場合、
「掲示板の運用能力」の高さが最も要求されるようになり、
サイト管理人のコミュニケーションスキルが重要視されるようになった。


サイト管理人がそれらの要求から解放されるのは、
mixiが登場し、ブログの利用が顕著になる2005〜2007年まで、
待つ事となる。

2005〜2007年。ブログの台頭、mixiへのコミュニティ機能移転。

2004年にmixiが登場し、それと前後して、
ブログを誰でも気軽に構築出来る時代になると、
ファンサイトへのコミュニティ構築の要求は縮小傾向となり、
同時にファンそれぞれが「言いたい事を書ける場」として、
ブログへ活動の場を移していく。


「アンテナ」等のブログ更新情報を捕捉するようなもの、
「Webリング」のようなブログ間を結びつけるようなもの、
それらWebサービスやWebアプリケーションが、
ファンの間で頻繁に活用されたのも、この時代であった。

2008年〜現在。事務所公式サイトの発展と、ファンの情報発信力の衰退。

近年はWebの利用が一般的な人の間でも広まっており、
事務所が新人を売り出すタイミングで、
公式サイトを構築するのが一般的な動きとなっている。


各ファンは公式サイトで「ほぼ全ての最新情報」を入手出来るようになり、
ファン同士が積極的にコミュニケーションを行って
情報を入手する必要性が、急速に薄れている。


Web上の情報源も、事務所のサイト以外からも、
積極的に発信されるようになり「公式な情報発信源」が、
増加する中、ファンがブログ等から発信する情報は、
それらの中に埋没していき、ファンの情報発信力が、
相対的に衰退する事となる。

今「ファンサイト」に求められる役割は何か?

だらだらと書いたが、上記の歴史(?)を踏まえて、
今のファンサイトに求められている役割を考察してみる。


今のファンサイトが対応しなければならないのは、

  • 急速に増加する「公式情報発信源」への対応。

この1点だろうと考える。


「公式な情報発信源」は増加しているが、
増加したがゆえに、分散化の傾向が非常に強まっている。
テレビ局のサイトには載ってるが、
事務所のサイトには載ってない、なんていうパターンだ。


発信源が分散化するという事は、
「知られていない情報は存在しないも同じ」
という状況に陥る「公式な情報」が発生する
リスクも増大しているという事である。


今の「ファンサイト」に求められている役割は、
「Webのどこかに存在する情報」をキャッチアップし、
集約、再発信する役割であろうと思われる。


他に「ファンサイト」はブログのような、
リアルタイムで情報を掲載する事が重視されているシステムでは
面倒な事を実施する事が求められるだろう。
例えば、12月に行われるライブの情報が10月に発表されて、
それが公式ブログに掲載されたとしよう。
12月になるまでの間に、その情報は流れて消えていってしまう。


ファンサイトは、その「流れて消えていってしまう」情報を、
その情報が不要になるまで、継続的に掲載し、
尚かつ、積極的に多くの人に伝えるための
方法を構築する必要があるだろう。


外部からの要求は以前の時代のようにはないだろうが、
様々な現状の欠点を補うための仕組みを積極的に考案し、
実施する事がファンサイトに求められている役割だろう。




と、まぁ、色々書いてみた。