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Ossanの研究所です。

「五輪にはボランティアで働け」を無理やり好意的に解釈するとして。

IT業界でブラックな発言として有名な名言は
西垣氏の「10年は泥のように働け」であったわけだけど。
IPAイベントにて:「10年は泥のように働け」「無理です」――今年も学生と経営者が討論 - @IT


新たにそれを上回る荻原氏という方が爆誕した感じ。japan.zdnet.com


2ページ目の内容も読むとそんなにズレた認識を持ってるわけでは
なさそうだなという印象だけども「ボランティアで」というのが、
インパクトが強すぎて、こりゃもう炎上待ったなしでしょう。


荻原氏が言いたい事を無理やり好意的に解釈すると、

  • 国が重要性を認識していないのでエンジニアを育成する初期費用は業界団体側でお金を出し合ってとにかく育成する。
  • ボランティアでも何でも良いので五輪のような大規模イベントでとにかくエンジニアに活躍してもらって国側に重要性を認識させる。
  • 国が重要性に気づけば、その後はお金を出してもらえるようになる、はず。

というロジックです。


これはSIerが公的機関にシステムを納入する際に初期費用をなるべく抑えて
ベンダーロックインさせる手法と非常に近く、公的機関への戦略としては妥当でしょう。


にしても、ですよ。
これ、育成されたエンジニアに金銭的なメリットが落ちてくるのは
一体いつになるんですかね?みたいな話になっちゃうじゃないですか。
業界団体が育成した後に各企業側でそのエンジニアにプラスの報酬を
約束するので、皆さん参加してください、とか、そういうの必要だよね、
とか思います。


もちろん、そのあたりの仕組みづくりがまだなので、
今回のインタビュー時には出てこなかっただけだと思いたいところですが、
ただでさえエンジニア側がようやっと最近は多少給与も全体として上がりつつあり、
職場環境も改善の機運が高まってきたかな、と思っていたところに、
冷や水を浴びせるような発言になってしまっていることは、
荻原氏にはご認識いただきたいところだなぁと思います。


そもそもとして、ボランティアで参加させる前に、
国側に大規模イベントではエンジニアを重要なポジションとして、
雇用すべき、と説得する努力をする姿勢を見せて欲しいところではあります。
この発言だけだと「ボランティアとしてねじ込むのが手っ取り早い」という
話しか見えないです。


他、ちょっと気になったのが、

エンジニアは力を持った人材のことを指す。
どんな企業に行っても活躍できる技量を持っているはずだ。
そうした業界で労働組合の存在はあわない。

この発言でしょうか。


各企業毎に労働組合を組織するのはエンジニアという職種には
確かに合わないとは思いますが、企業外にはエンジニア労働者の
団体交渉用の労働組合は必要ではないかという
考えがあっても良いんじゃないかなと。