ちょいヲタおやじは技術者

俺はオヤジが正直嫌いだ。
タバコ吸うわ酒は飲むわ、おかげでとんでもなくクセェ。
月に一度はアフォな同年齢の人らと酒飲んで
さらに臭くなって帰ってきやがる。

だが尊敬してる部分もあって。
ええ歳になったにも関わらず、技術屋やってんのよな。
そこがすごいなぁと思ってて。

以前「俺の昔の同僚が社長になってなぁ・・・」って
別会社の社長が載ってる雑誌を見せられたんだけど。
「俺のほうが技術はあった」って言ったのな。
今の給料はその社長さんになった人と比べたら
圧倒的にオヤジのほうが安いんだがね。

なんていうか、そう言えるオヤジは正直うらやましい。
俺はそうなれないような気がするから。

この前、街中で手を滑らせて携帯を落として
「あ〜、壊れてない、ラッキー！！」みたいなことを
言ってる女子高生がいたけど。

知らなくて当然だけど、そんなのは全然ラッキーでもなんでもない。
使用中に何十回手を滑らせて落としても壊れないように設計してるんだよ。
俺のオヤジ、その仲間や同僚やら先輩やら後輩やら派遣社員の人らとか
みんなが一緒になって毎日毎日テストしてんだよ。
テスト中にヒビが入ったら、金型をどう変えたら
強度を増すことができるのか、予算内に収まるのか
通常の使用でこの壊れ方はありうるのか、それらを全部ひっくるめて
必死になって考えて商品として世の中に出すまでに簡単には壊れない物にしてる。

ラッキーでもなんでもない。
人の努力によって落としたって壊れない物になっている。

この前、次に出す新作携帯を家に持ってきた。
それはもうテストにさらされて、ボロボロだった。
でも、ソフトウェアの試験には使えるからそのまんま使ってる。
それくらい中身の保護ってしっかりやってる。

携帯を落として壊れなかったら、ラッキーと思わないで欲しい。
壊れないようにがんばって作った人らに感謝してくれぃ。

壊れたら？そりゃあんたの落とし方が悪かったのさ。