ヨコハマ映画祭の話。
まぁ、色々あったんだけども。
杏奈ちゃんは表彰される時に「最優秀新人賞」3人の中で1番最初に呼ばれたのであった。
グリーンのワンピースに身を包んで、細くて美しい脚はライトに照らされて。
彼女があまりに無名で、どんな人か、誰も登場するまで知らなかったのだろう。
彼女が登場した時の彼女への美しさへのため息と、
「きれいな人だね。」というヒソヒソ話は、会場の中にいた私にはとても嬉しいものであった。
杏奈ちゃん本人は緊張しているのか、笑顔は全く無く。
舞台の上を歩む彼女の動きは、硬くはなかった。
会場の真ん中にあるマイクが自動でせり上がり、
彼女の高さに合わせられると、彼女は賞を受けたことの喜びをスピーチにした。
やはり表情は硬かったけれども。
スピーチ後は、映画「きみの友だち」の監督も登壇して、少しだけトーク。
それが終わった後はステージ上の椅子に腰掛けて、
その後に登場した表彰者のスピーチとそのトークを彼女は柔らかい表情で楽しんでいた。
俺は、ステージ下から、その杏奈ちゃんを楽しんでいたわけですが。
イベント後は私のプレゼントを持ってくれていたのを確認できたので、
それだけで俺は大満足だし、胸はいっぱいであった。