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ジャック・ウェルチ わが経営。

かな〜り前から、ちびちび読んでいたのをつい先日読み終わった。
初版が単行本で出た後の文庫本を手に入れて読んだので、
ビジネス書という観点から考えると、
時間的に内容が「ちょい昔」の本になってしまうのだが、
ジャック・ウェルチ氏の自伝的内容なので、
その「ちょい昔」はさほど問題になるわけでもない。


本書は上・下巻に分かれていて、
その下巻の終わりのほうで日本企業、日本という国に対する印象を、
現在(その文章が書かれた時間の)の日本の現状を踏まえて、
ジャック・ウェルチ氏が自らの言葉で述べている。


その「現在」は、ちょうど小泉氏が首相をやっていた、
日本という国に高揚感が漂っていた頃のようだ。
主婦の人も含めて政治への関心が高まっていると聞いている、
という旨のことが書かれている。


ジャックウェルチ氏は日本はバブルで壊滅的な打撃を受けたが、
それまでのビジネスを通じて育んできた日本人との「友情」に
敬意を払いつつ、日本は必ず復活するであろう、と、
日本の将来に対しては強く楽観論を述べている。


この書籍が出版されて以降の日本はいくらか景気が回復していたとはいえ、
各個人にはその恩恵がもたらされる実感がないまま、
金融不安による不景気へと再度突入しようとしているのが現実で、
そういう意味では、彼の楽観論はハズレてしまった感はある。


アメリカのビジネスは短期的なものを求めるばかりで、
長期的な視点からの戦略に欠ける、と彼は述べる一方で、
世の中の変化のスピードが早まっている現在では、
その欠点は逆に長所になりつつあるようだ、と述べている。


対照的に、日本の企業は長期的な視点で経営が行われている部分があり、
学ぶことも多いが、その部分は今現在の変化のスピードが求められる状況では、
欠点になってしまった、と日本の経営スタイルへの警鐘も鳴らしている。


ビジネスにおける日本企業は決断の遅さにイライラさせられたケースもあるが、
一度決定するとその後の仕事に対しては非常に信頼がおけると語っている。


後半のほうの後継者選びのプロセスの部分は、
氏が携わってきた企業、GEと氏が関わって来たCEOという仕事、
それぞれに対する情熱が伝わってくる内容になっていて、
読んでいて思わず熱いものがこみあげてきた。