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Ossanの研究所です。

大阪ってそんなに児童虐待が多いんですか。orz

報道から見た児童虐待死、顕著な地域差…東工大チーム
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060917i501.htm


最近11年間に明らかになった児童虐待死の
都道府県別発生率は、北関東や大阪などで顕著に高いことが、
東京工業大大学院・犯罪精神医学研究チームのまとめでわかった。


一方で、虐待死ゼロの県もあるなど地域差がみられ、
研究チームは、地域事情を考慮したきめ細かな虐待対策が必要としている。


研究チームの影山任佐教授、安宅勝弘講師らは、
1994〜2004年に地元警察などが虐待死と発表し新聞が報じた
0〜15歳の子供が被害者の事件293件について、その動機や加害者などを新聞報道から調べた。


都道府県別の発生件数が最も多かったのは、
大阪府で41件。次いで埼玉(26件)、愛知(21件)、
神奈川(20件)、東京(17件)と大都市圏が上位を占めた。
徳島、高知、沖縄県はゼロだった。


人口100万人あたりの発生率は群馬県が最も高く4・94件で、
茨城(4・71件)、大阪(4・65件)、栃木(4・46件)、大分(4・13件)が続いた。
発生率は、この11年間で3倍に高まった。


加害者は、両親ともに加害者になったケースを含めて、
母親が177件、父親173件とほぼ同数。母親で目立ったのは、子供と二人の時に事件を起こす例。
死に至る子供も乳幼児が多く、子育てのストレスと推測されるケースが多かった。
一方、父親は「なつかないので憎かった」などの理由が多く、内縁の夫による事件が45%を占めた。


影山教授は「詳細に分析し、地域の実情に応じた予防策を実行することが必要だ」と話している。
(2006年9月17日3時4分 読売新聞)

web上のニュースソースって、ある日突然消えてたりするから全文引用する。


まぁ、俺が大阪の人間だから弁護する、とか
そんな気はないんですが、とか、言ってみるものの、
心の奥底でそういう感情があるかもしれませんが。


疑問として、いろいろ。

  • 大都市圏での児童虐待が「報道されやすい」傾向はないのか?
  • 近所づきあい等の配慮により、地域によって「警察へ通報されにくい」傾向はないのか?
  • 地域によって児童虐待の事件が「警察から発表されない」ということはないのか?
  • 「人口100万人あたりの発生率は」と書いているが、どの県も人口100万人あたりの子供の比率は同じなのか?
  • 「発生率は、この11年間で3倍に高まった。」と書いているが、それはこの11年間に児童虐待への理解が進んだからではないか?
  • 「虐待死ゼロの県もある」と書いているが、そんな県が現実に存在するのか?
  • 「その動機や加害者などを新聞報道から調べた。」とあるが、そもそも、それらの報道は真実を記述しているのか?


突っ込みどころ満載のような気がする。


滋賀県の話、ですが。

第6回滋賀県人権施策推進審議会会議概要
http://www.pref.shiga.jp/shingikai/jinken-shingikai/gaiyo21.html


もうひとつは、明らかに、虐待についてのアンテナの高さに地域差がある。
これは事実だと思うし、虐待について啓発するためのネットワークがあるところと
ないところではこの差が大きくなる。他にも要因はあるが、これらの点が非常に大きい。

専門家の方々はこのように指摘されてます。


大阪は虐待に関する報道件数が多い、ということは
「虐待についてのアンテナの高さ」が高いということであり、
子供を守る、という観点からは、非常に良いことだと言えるかもしれません。


もちろん、大阪で虐待が多いなら、解決すべきことだろう。
俺も大阪に住んでいる人間の一人として、そう強く願う。


それにしても、
「報道しないもの勝ち」みたいな傾向が出たりしなけりゃいいけどねぇ。


全く別の例だけど、本質的には似通ってる例を挙げる。

セキュリティ・ホールは公開しない者勝ち?
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20051025/223458/


ベンダーが公表したセキュリティ・ホールの数の比較に意味はあるか


(中略)


とはいえ,公表されたセキュリティ・ホールの数だけで,
ソフトウエアの安全度を判断されることを筆者はとても懸念する。
そうなれば,公表しない者勝ちになってしまう。
不誠実なベンダーが開発したソフトウエアが安全と判断され,
積極的に情報を公開するベンダーのソフトウエアが危険とされてしまう。
それはおかしい。


上記に引用した文章をテンプレとして
今回の報道に対する俺の懸念を書くとこんな感じか。


=========
とはいえ,警察から公表され、マスコミに報道された事件の数だけで,
児童虐待に地域差があると判断されることを俺はとても懸念する。
そうなれば,公表しない者勝ちになってしまう。
警察が不誠実に公表しない、マスコミが不誠実に報道しない、
それらの地域では児童虐待はないと判断され,
積極的に情報を公開する地域がまるで子育てに危険な地域とされてしまう。
それはおかしい。
=========


「児童虐待が多い県」なんて汚名はどこも欲しくないわけで、
「うちの県の警察にはマスコミ向けに児童虐待関連の発表はさせない」
みたいなことになってもダメなわけで。


あとまぁ、東工大チームの方々には、
もうちょっと実りある分析をしていただきたいです。



== 追記:==
風太さんにコメ欄で
「僕も大阪に最近までいたので思うのですが、不況の影響はないでしょうか。」
ってコメントいただいたので、ちょっとそれも調べてみた。


総務省統計局というのがあるようで(生まれて初めて知った)
そこにExcelのファイルで「地域別完全失業率」が公表されてましたです。
http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/zuhyou/lt07.xls


つーか、「地域別完全失業率」の表を見てて、
今回の東工大チームの発表ってさらにむちゃくちゃなのに気づいた。
「1994〜2004年」の発生件数、合計してるじゃん…。orz
普通、年別の遷移が重要なんじゃね〜〜の?


比較検証とかできね〜〜よ。


総務省統計局の「地域別完全失業率」表だと、
どこもかしこも完全失業率は改善しつつあるようなので、
虐待も減ってれば関連はあるかもしれませんね。


まぁ、やっぱり、東工大チーム、後は頼んだ。