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Ossanの研究所です。

「きみの友だち」感想。

原作を知らないのだが、原作を読んだ人の話を聞くと、
それぞれの若者の日常を追うように1章ごとに、
分かれた書かれ方をしているという。


で、映画が、ああいう形になった、と。


ストーリーの展開は、いくつかの場面で難解だった。
杏奈ちゃんが演じる恵美と
北浦愛ちゃんが演じる由香の幼少期の回想から話が始まり、
基本的には、幼少期→大人という時間経過。なのだが。


途中で、時間経過が逆転をおこす場面があって、
見ている側が適度に混乱するという…。
その混乱は「制服が中学生の時と違う=高校生?」
という映画を見る側の自助努力によって解消しなければならない。


そのあたり、もうちょっと何か工夫があれば…。


あと、映画を見終わって、しばらく経ってから気付いたんだが、
杏奈ちゃんが主演で、その友人が愛ちゃん、
なので、この二人が話の軸ではあるんだが、
杏奈ちゃん演じる恵美の弟が他に登場する若者の人生に、
奇妙に絡んでいて、第3の主人公的位置づけになっていた。


吉高ちゃんより、カメラマンの彼より重要じゃね?
(映画パンフレットの話ね。)


映画の内容は「激しくお涙頂戴」系ではない。
それぞれの若者にさらに若かった時代があって、
そのさらに若かった時代の「何となく黒or灰色」な部分を
これでもか!という具合で使われる、
奇妙な、長い「間」を使って、効果的に描き出していた。


あの「間」は映画ではなかなか存在しえない、
現実世界ではいつも存在する「悩ましい間」だと思うのだが、
映画で描かれると変な、じれったさ、くすぐったさ、
のようなものがあったのは新鮮だった。


心に刺さったシーンは、

  • 玄関を開けたら「家で一番大きな傘」を持ってきた由香が立っていた。
  • その後、雨の中、二人で緩い坂道を登っていった。
  • 由香がいなくなった病室の天井で恵美が「あの絵」を見つけた。

この3つのシーンはセリフはいらない。本当に良かった。





それにしても、
杏奈ちゃんの演技力がもうちょっとあれば…と思ってしまう。


彼女以外の俳優さんは非常に層が厚く、
彼女があの中に混じって演じることが出来たのは、
俳優という仕事を彼女が今後やっていく上での「勉強」にはなっても、
彼女の評価を上げることにはならないだろうと、感じた。


映画の内容は非常に良いと思った。
だが、杏奈ちゃんの演技力が最終的にクオリティを
下げてしまっているのは事実で、そのあたりは残念。


今後の彼女の成長に期待したいなぁ。
やっぱり、かわいいし。