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クレイジーパワー 社会起業家—新たな市場を切り拓く人々

社会起業家」という新しい分野(役割?)を取り上げている。
私自身が「社会起業家」に興味があって
(いや、社会起業家をやりたい、とかいう意味ではない。)
たまたま書店で良さそうな本だな、と思ったのが購入のきっかけだったり。


本書では、社会起業家それぞれのパターンの差異、
彼らが立ち向かう様々な問題、課題を解説し、
具体的な組織名、社会起業家名を取り上げて実例が述べられている。

社会起業家をパターン分けした上で説明しているのは、
社会起業家」という役割を理解する上でも多いに役立つ部分だと感じた。
具体的には、以下のように説明されている。


モデル1の事業特徴は以下のように解説されている。

p61

  • 経済的に最も弱い立場にあり、既存のサービスへのアクセスを持たない、または代金を支払えない人々に公共財を提供する。
  • 起業家と組織の両方が、「変革の触媒」としての役割を果たす。直接の受益者に主導権を持たせて、長期的な持続可能性を確保することを目標の中心に据えている。
  • 複数の外部パートナーが積極的に関与し(あるいは途中で加わり)、事業を経済面、政治面で支える。
  • 設立者である起業家は名目上のリーダーとなり、実質的な責任とリーダーシップは他の者に委ねられる。設立者がその後、別の大きな運動を主導するケースもある。


モデル2は以下。

p69

  • モデル1のベンチャーと同様、これまで市場で疎外、軽視されてきた人々に、モノやサービスを提供するが、利益を上げること(さらにそれを再投資すること)にまったく関心がないわけではない。
  • 貧しい人々や不利益を被っている人々がモノやサービスに確実にアクセスできるよう、創設者である起業家(または起業家チーム)はある時点で、マーケティング計画を練りはじめる。
  • モノやサービスの販売により、事業コストの一部を回収する。その過程で新たな市場が見出されることもある。
  • 活動を維持し、貧しい人々や不利益を被っている顧客のニーズを満たしていくために、公共、民間、慈善団体からの助成金、融資、まれなケースでは準株式の発行を通じて資金を調達する。
  • 一般の投資家や企業が出資者になる可能性がある。彼らは必ずしも大規模な金銭的リターンを求めるとは限らないが、多くの場合、事業形態をモデル3の「ソーシャル・ビジネス・ベンチャー」に近づけて新たな資金源、特に資本市場へのアクセスを確保するよう、働きかけてくる。場合によっては適切な動きかもしれないが、これによって事業活動の対象が変わってしまい、最貧困層へのサービスが打ち切られる恐れもある。


モデル3は以下。

p76

  • 起業家は、社会変革、環境変化を起こすために特別な使命を掲げ、ビジネスとしてベンチャーを立ち上げる。
  • 事業利益は生じるが、最大の目標は株主への金銭的リターンを増やすことではなく、低所得者層の経済的便益を図るとともに、再投資により事業を拡張して、さらに多くの人にサービスを提供すること。
  • 起業家は、経済的リターンと社会的リターンの両方を求める投資家を探し出す。
  • 比較的簡単に借入や株式に頼ることができるため、資金面でも事業拡張の面でも非常に有利。


日本でも徐々にではあるけれども、
社会起業家」が取り上げられ始めてるので、
読んでおいて損をする事は絶対にないだろう。